谷口 義明
ハワイ島マウナケアの天文台で長年観測を行い、すばる望遠鏡による原始銀河探査で、128億光年彼方の“生まれたての銀河”を発見したことでも知られる天文学の第一人者 谷口義明氏による本。
本書は、著者が研究上これまで最も魅了され続けたという 宇宙最大のミステリー「暗黒(ダーク)」について語られている。
ダークマタ ー、ダークエネルギーをはじめ、ビッグバン、インフレーション、加速膨張宇宙論、量子力学、相対性理論etc.のあらゆる角度からのアプローチは非常にわかりやすく、宇宙科学や天文学の今を知る上での入門書としてもオススメ。
本書によると、電磁波で観測可能な光を含めた物質の質量は、宇宙全体のたったの4%。残りの23%がダークマターと呼ばれる謎の物質、さらに73%がダークエネルギーと呼ばれる謎のエネルギーなのだという。つまり、宇宙の96%はこの未知の「暗黒(ダーク)」なのである。
一方で、この謎だらけの「暗黒(ダーク)」には、「銀河を回転させているエネルギーは何か?」という疑問に対する答えが隠されているともいえる。
もしかすると、そのうち全く別のアカデミックな分野から、この謎の「暗黒(ダーク)」の正体を探る糸口がみつかるかも知れない。
宇宙がどのように生まれ、今どんな姿をしているのか、そして、宇宙はこの先どうなっていくのか...宇宙のミステリーはまだまだ尽きない。
【目次】
第1部 ダークな宇宙まで
プロローグ
宇宙のダーク
(宇宙の中のダーク/ダークの種類/ダークな宇宙へ)
第2部 ダークな天体
暗黒の星
(星とは何か?/暗黒の星/光らない星/ダークな星々)
暗黒の残骸
(星の進化の行く末/白色矮星/中性子星とブラック
ホール/中質量ブラックホール/ダークな残骸)
第3部 宇宙のダークサイド
暗黒星雲
(暗黒星雲/星間ガス/ダスティ・トーラス)
暗黒の銀河
(銀河の暗黒部/ウルトラ赤外線銀河/銀河、若かりし
頃の暗黒)
暗黒の銀河間空間
(吸収線の世界/遠方の宇宙へ/銀河間空間に
何があるか?)
第4部 宇宙の暗黒
宇宙の質量
(膨張する宇宙/宇宙の運命/宇宙の質量)
宇宙の枠組み
(ビッグバン宇宙論/宇宙マイクロ波背景放射/宇宙の
枠組み)
暗黒物質―ダークマター
(観測的証拠/ダークマターの性質/ダークマターの候補)
暗黒エネルギー―ダークエネルギー
(宇宙項/加速膨張する宇宙/ダークエネルギー)
第5部 ダークな宇宙から
宇宙の暗黒時代
(宇宙の暗黒時代/宇宙の暗黒時代を破るもの
/ダークな時代)
エピローグ
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