2006年03月28日

SFを超える宇宙の未来

パラレルワールド―11次元の宇宙から超空間へ
ミチオ カク (著), Michio Kaku (原著), 斉藤 隆央 (翻訳)


まるでSF小説を連想させるようなタイトルだが、本書は理論物理学の第一線で活躍し、アメリカのメディアでもひっぱりだこの、ニューヨーク市立大学教授ミチオ・カク氏によって書かれたレッキとしたサイエンス本だ。
世界の科学の最先端では、今やこうしたパラレルワールド(並行宇宙)の存在についても真剣に取り上げられるまでになったが、本書では、そこからさらに踏み込んで、何兆年後の宇宙、宇宙の知的文明の未来、ワームホールを利用したタイムマシン、終焉を迎えた宇宙からの脱出方法etc.についても、単なる空想の世界ではない、科学的な視点で語られている。
そして終盤では、宇宙論を突き詰めると必ず行きつくという、「宇宙や人類の存在意義とは何か?」といった、哲学や神学への領域にも及ぶ核心の議論についても、かなり踏み込んだ内容で展開している。

「私は個人的に、純粋に科学的な視点から、アインシュタインとスピノザの神の実在を示す最も強力な論拠は、目的論にあるのではないかと思っている。ひも理論が最終的に検証されたら、その方程式そのものはどこから得られたのかと問う羽目になる。統一場理論がアインシュタインの考えたとおり、真にユニークなものだとすれば、そのユニークさの出どころはどこかと問うことになるのだ。...結局、全宇宙を調和のとれた秩序ある形で記述できるたった一個の方程式があるとしたら、なんらかの設計者の存在を示唆していると私は思う。(「第十二章 マルチバースを超えて」より抜粋)」

宇宙とは、人類とは、何か?について、科学者によってこれ程包括的な視点で書かれた本は、ほかにないだろう。まさに、読み応え充分な本。


【目次】
第1部 宇宙
 宇宙が赤ん坊だったころ
 パラドックスに満ちた宇宙
 ビッグバン
 インフレーションと並行宇宙
第2部 マルチバース
 次元の入口とタイムトラベル
 量子論的な並行宇宙
 M理論—すべてのひもの母
 設計された宇宙?
 十一次元のエコーを探す
第3部 超空間への脱出
 すべての終わり
 宇宙からの脱出
 マルチバースを超えて



posted by 本のソムリエM at 17:42| 宇宙 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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