2006年06月04日

ダ・ヴィンチ・コードのたね

マグダラのマリアと聖杯
マーガレット・スターバード, 和泉 裕子


まぎれもなく、ダ・ヴィンチ・コードのタネ本というだけあって、“マグダラのマリア”“聖杯伝説”について、包括的、かつ深遠なインスピレーションを与えてくれる本。

新約聖書の中に「娼婦」として記載され、後にキリストによって罪を許された女性として伝えられたマグダラのマリアは、実際には“キリストの花嫁”であるといわれている。本書では数人の研究者の説にもとづいて、なぜ、その事実が歪曲されるに至ったのか、聖杯伝説とは何であったのかについて、独自の見解を展開。

イエス・キリストとマグダラのマリアとの婚姻は、王族同士の結婚であり、キリストの処刑は、単に宗教的な背景によるものではなく、政治的色彩の濃いものであったとされているが、キリストの処刑後、キリストの子を宿したマグダラのマリアが迫害を逃れて地中海を渡り、南フランスでメロビング王朝の基礎を築いたという話は、歴史好きには非常に興味深い。

マグダラのマリアが逃れた際、ともに姿を消したといわれる“キリストの血を受けた聖杯”は、やがてその存在をめぐり、さまざまな解釈がなされ、今もなお、失われた聖杯の探索が続いているそうだが、結局のところ「聖杯」とは、“キリストのDNAを受け継ぐ子孫”を宿したマグダラのマリアそのものをシンボルリックに表現したコトバ、という解釈がされている。

著者の見解では、キリストの血筋を受け継ぐ者とは、特定の民族や王家の者をさすのではなく、後世のミレニアムというこの時代に生まれたすべての人をさす言葉で、王国の復活とは、マグダラのマリアに象徴される「女性性」そのものが、再びそのチカラを取り戻した時に、この時代に生きるひとりひとりの手によって、世界の栄華が訪れるということを示しているとしている。ある意味では、単なる歴史研究書を超えて、精神世界にまで深くきりこんだ本といえる。

【目次】
序章 マリア
第1章 失われた花嫁
第2章 花婿
第3章 王家の血筋とぶどうの木
第4章 十二世紀の覚醒
第5章 隠された教会の遺物
第6章 異端の芸術家とそのシンボル
第7章 一角獣と貴婦人
第8章 民間伝承の中の花嫁
第9章 砂漠に咲く花

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posted by 本のソムリエM at 23:52| コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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